「非クリエイター宣言」=「ものづくり」(改革すべきは己の思い入れ)


もう15時とか16時だったと思う。パートさんは帰る時間である。
「おはようございます!」
とおおきな声で挨拶してみた。<小学生か!
白い目に晒されるところを温かい目で迎えてくれる、この会社が泣きたいほど好きだ。それなのに裏切るようなことばかり続けるぼく‥‥。しょうじきそんなにデカイ面して社会を渡るほどの、肝っ玉の据わらないぼくはほんとうに「スマナイ。」と思う。すぐにでも辞表を書いてどこかへ行ってしまいたい。ただ、次の仕事の目処が立たないんだ。そんなこと考えるまえに、出ていくべきなんだけど‥‥。


新CEOが「だいじょうぶ?」と声を掛けてくれる。
病欠じゃねえです、テメエの自己管理が甘いだけです(涙)。「アルバイト代」--あ、今日は給料日か。って支払い、間に合わん!!--と手渡しながら「連絡だけはしてあげて」と耳元で囁いた。もっと叱責してくださいよ(号泣)!!
書きながら、なんだか涙ぐんじゃいそう。
このひとつについても、改めて書く必要がありそうだ。
そもそもぼくは自己否定型の人間で、とにかく自分はダメ人間だからというところから始まっている。
前回書いた社内人事変革に伴い、この新CEOと個人面談をする機会があった。
あろうことか、その日もぼくは遅刻をし、忙しいCEOの予定を狂わせ、結局面談は延期となった。そのことに関しての謝罪も含めてぼくは社内ネットワーク(グループ・ウェアってやつですね)のメールでお詫びと、自分がいかにダメ人間かを書いておいた。それから事前に提示されていた「課題」についても補足をしておいた。

いまぼくが携わっているのはDTPという業務で、ときどき部署内でもデザイナーかオペレーターかなんていう話題が飛び交っている(云うまでもなく、そういうときぼくは聞かぬ振りをしている)
ここで白状してしまうならば、決してぼくはデザイナーでもオペレーターでもない。単なるアルバイトだ。セブンイレブンマクドナルドで働いているのと何ら変わりがない。それは入社当時から上司には云い続けていることで--いまの上司には云ってないかな--、とにかく「クリエイティヴ」な仕事はしたくないというのが、ぼくのスタンスだった。

今回JSPの資料を探したりしていて、一時期自分がデザイナーだのエディターだのと名乗っていたことを思い出した。
でも、いまはそんなこと思いやしない。それは同僚や上司、まえの上司、さらには新CEOの仕事を見ているせいもある。
残念ながら新CEOと実務を共にしたことはないのだけれど、ちらと見た作品群や噂に聞く数々の逸話、そして今回の面談でぼくは自分の確信が事実であると直感した。

前述のメールでぼくは、「クリエイター」とはこういうもので、自分が追求したいことはこういうことで、それがいかに「非クリエイティブ」かを書き連ねた。
果たして訪れた面談の朝。
社内メールでCEOからメールが来ていた。タイトルは『失礼ですが…。』。
要はそれだけテキストで表現できるあなたは「根っからのクリエイターです」と‥‥(泣)。
そして面談当日、CEOは「こういうひと知ってる?」とノート・パソコンの画面を見せてくれた。それはぼくも注目するデザイナーのHPだった。彼がぼくがメールに書いたことと同じようなことを云っているのだという。
そのときも、そして常々ぼくは「クリエイティヴ」の反意語として「ものづくり」という表現をしてきた。

それがクリエイティヴか否か。デザイナーか否か。
クライアントが、お客さまが決めることだ。
思い上がっていた自分が恥ずかしい。
それは簡単で、久しく目のまえにお客さまを見ていなかったからに他ならない。