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from "mixi"

ネットで知り合ったアミーゴたち((C)リリー・フランキー先生)の話になって、そこから80年代のアイドル親衛隊の話題に逸れていきました。
いつもの90年代話と違って面白いかなとも思い、まだ非公開のページから一部引用。先行発表。揚げ足取り、粗探し、事実誤認に関する指摘、ご感想諸々希望んっ!


先程ファンクラブのことがすこし出てきたが、大雑把にアイドルのファンはいくつかに分けられる。ファンクラブなどに入会し、地道に応援する良心的なファン。イベント会場などで入り待ち/出待ちをしたり、撮影所や自宅/実家にまで押し掛け、ときには暴力沙汰さえ起こし兼ねない「追っかけ」と呼ばれる輩。その「追っかけ」と道義的に重なるカメラ小僧(通称カメコ)と呼ばれる連中。
前者は他人にも、そしてもちろんアイドルにも迷惑を掛けることはない。タチのわるいのは後者で、無意味なブーイングを飛ばしたり、撮影禁止の会場で隠し撮りをしたり(それを原宿などのアイドルショップに売り捌く野郎もいた)、どこまでそのアイドルがすきなのかわかりかねるところがあった。
事務所はレコードや写真集などを買ってくれて、ファンクラブにまで入会してくれるファンを重宝する。もちろん経済的/営業的な面が、その際たる理由だが。
逆にあたりまえだが、まわりのファンやときには無関係な一般人、ひいてはアイドル本人にさえ迷惑(被害)を及ぼす無法者を野放しにしたくはなかった。
だが一応はイベントなりコンサートに足を運んでくれている以上、無下に追い返すわけにはいかない。さらには人数的にも警備が手薄にならざるを得なかった。
この辺は90年代に入り、制服向上委員会(SKi)における”外道”にも通ずるところがあるが、それについては割愛する。
そこで事務所側は悪質なファンからアイドルを守るため、親衛隊と手を結んだ。
つまり手に負えない連中を追い払う用心棒として親衛隊に目を付けたのである。(「利用した」と書いても良いのだが、久良が語るところによると事務所による親衛隊に対しての扱いは厚待遇だったらしい)
文字通りアイドルを衛るべく親衛隊は体を張った。各地で暴れ回る猛者もいた。それをねじ伏せる血気盛んな若い衆が親衛隊にもいた。事務所のスタッフや一般のファンの目に触れないところで、彼らは粛正を下し、何も知らずに笑顔でアイドルが会場をあとにするまで親衛隊は黙って見送った。出待ちの「追っかけ」には指一本触れさせず、オフショットを狙うカメコからカメラを奪いフィルムを抜き去り、ときには大枚をつぎ込んだと思われるカメラを踏みつぶしたりした。

数時間後、待ち合わせ場所を支持された親衛隊長ら主要メンバーは人目のすくないファミリーレストランなどで、特権的優遇措置としてアイドルとお茶をしたり食事を共にした。売れてきて周囲の目が厳しくなると、特別に事務所の会議室などに通され、そこでしばしアイドルと普段は決して近付くことのできない至近距離で談笑した。何度か回を重ね信用を得ると、気の利いたマネージャーは席を外したりもしてくれた。そこではゴシップ誌が「オフレコ話」などと取り上げるネタなど比べものにならないくらい、刺激的で生々しい会話が交わされた。
親衛隊というと「怖い」とか「乱暴」だといったイメージを持たれがちだが、じっさいには事務所と密接に繋がって無法者を退治する、どちらかといえば「正義の味方」だったのである。
なかには「武闘派」として名を馳せ、暴れまくっていた集団もいた。
しかし1980年代から90年代に掛けて姿を消した、真の親衛隊はある意味でファンというよりはスタッフに近かったのかも知れない。

そして、まもなくアイドル冬の時代が訪れることになろうとは久良も、親衛隊のメンバーも誰ひとりとして思ってもいなかった。