流血のサヴォタージュ。(後編)

from "mixi"

じつは家を出るときに会社にtelをしておいた。翌日も午後から出社する、と。
明け方帰宅して起きられる自信はなかった。(過去の経験からも)
まして翌朝のことを考えると、睡眠導入剤を服用しておきたい。そうなると、ますます短時間で目覚めることは難しい。

そこでYさんにモーニング・コールをしてもらうお願いをして店を出る。

悲劇はここから起こった。


すぐにタクシーに乗ってしまえば良かったのだが、ちょっと酔いを覚ましたかったのと、「東京スポーツ」を買いたかったのですこし歩くことにした。
近くのコンビニエンスストアで、無事「東スポ」は手に入った。とはいえ1件目では既に片付けてしまっており、2件目を探すハメに陥ったのだが。
この時点で既に足元はふらつき、何度も埋め込みなどに倒れ込んでいた。つまり酔いを覚ますどころではなかったのだ。
いつの間にか、意外に自宅の近くまで歩いていたようで、このまま帰れるかと思ったそのときだった。何度目かのふらつきで倒れ込む。ただ、今回は不幸にも植え込みではなかった。
電柱に頭から激突。
ポタリポタリと鮮血が。そしてみるみる血が溢れ出す。幸いにもポケットにバンダナが入っていたので頭に強く巻く。手のひらは血まみれで真っ赤である。
頭を打って方向感覚が狂ってしまったのか、何度も同じところを歩き回ることになる。つまり歩けど歩けど自宅には辿り着かず、むしろ元の店に戻っているようなのだ。
その事実にようやく気付き、ひとまず駅に向かうことにする。なんとか駅まで辿り着くが、とうに終電が去り、もはや始発までの時間の方が短くなろうとしている時間帯なので、タクシーもすくない。
かろうじてタクシーに乗り込み、自宅近くの病院までお願いする。べつに治療してもらおうとか、主治医を呼び出そうというわけではなく、単に運転手に説明するのにわかりやすいからだ。
シートに座り込むと即座に眠りに就く。
あっという間に自宅に着き、傷口を拭き着替えて蒲団に潜る。

波乱の一日は幕を閉じた。

だがサボタージュの日々は、まだ終わったわけではなかった。