クリエイティヴとは(再び)。

2月27日に

<「非クリエイター宣言」=「ものづくり」(改革すべきは己の思い入れ)>

として書いた日記をリミクス。というかリ・プロダクション。


なぜ、ひと月もまえに書いたものを蒸し返すのかと云えば、古くからの親愛なる知人で、さいきん"mixi"を通して数年ぶりの再会を果たしたmotte*氏のブログ(http://deepend.blog3.fc2.com/)で、例のau by KDDIの「PENCK騒動」が取り上げられていたからである。
あと、やっとトラックバックの仕方がわかってきたので試したかったてのもあるけど(苦笑)。ごめんね、motte*さん^^;

まずは先日書いた部分をリミクス。

いまぼくが携わっているのはDTPという業務で、ときどき部署内でもデザイナーかオペレーターかなんていう話題が飛び交っている(云うまでもなく、そういうときぼくは聞かぬ振りをしている)
ここで白状してしまうならば、決してぼくはデザイナーでもオペレーターでもない。単なるアルバイトだ。セブンイレブンマクドナルドで働いているのと何ら変わりがない。それは入社当時から上司には云い続けていることで--いまの上司には云ってないかな--、とにかく「クリエイティヴ」な仕事はしたくないというのが、ぼくのスタンスだった。

簡単に説明を加えておく。
いつからだろうか、ぼくは漠然と自分がまえに出ることを拒むようになっていた。
いま付き合っているひとから見れば、さして不思議なことではないだろうが、かつてぼくはバンドで日比谷野音に立ち、役者として下北沢スズナリでデビューし、地元ではAM局、都内では有線放送で番組の構成をし、そっちのディスクジョッキーだけでは飽きたらず、お皿回しのDJを週イチくらいでこなしていたような「外向きな」人間だった。(その辺のことは、ここのプロフィールを見ていただくと、かなり詳しく書いてあります)。

なんだか長くなりそうだな。
どちらかといえば http://www3.to/3amop 向きだな。
ふかい話は改めて書くとして。
デザインについて絞って。

となると、上に引用した部分があまり生きてこないんだけど(苦笑)。
無理矢理こじつけると。
いつからか漠然とぼくは「作品」ではなく、「商品」を作りたいと思うようになってきた。それは、たしか上司との面接や系列会社の社長(現在、我が社の社長も兼任)との面談でも話したとおもう。
さらに云えば「記名性のある物」ではなく「無記名な物」ということで。
そのときは、無印良品ユニクロを例に挙げて話したとおもう。そして、それは反語として。無記名だと云いつつも、そこには「無印良品」や「ユニクロ」といった立派な”ブランド”が冠されているということを。デザイナー個人の名前は前面に出なくても、「誰もが無意識に馴染んでしまっている」程度に浸透しているという無名拡販性(そんな言葉あるのか?)に富んだ商品。
自己犠牲ともいえるストイックさに聞こえて、じつは広がり知られたいという、そのいやらしさ。
おそらく、そのときぼくは最終的な着地点として"agnes.b"あたりをイメージしていたんだとおもう。じゅうぶんブランド・イメージで売ってるじゃないか!

クールダウンのため、前回の分からリミクス。

前述のメール*1でぼくは、「クリエイター」とはこういうもので、自分が追求したいことはこういうことで、それがいかに「非クリエイティブ」かを書き連ねた。
果たして訪れた面談の朝。
社内メールでCEOからメールが来ていた。タイトルは『失礼ですが…。』。
要はそれだけテキストで表現できるあなたは「根っからのクリエイターです」と‥‥(泣)。

いまでもぼくは自分がデザイナーだとはおもっていない。ただ日々追われる業務(作業といってしまっては元も子もないので)がクリエティヴであるか否かはわからない。
ただぼくは云いたいことは云ったし(この文章では、かなり省略してしまったのでわかりにくいけれど)、真意は伝わったとおもう。
いまのCEOは素晴らしいデザイナーである。あいにく未だ共に仕事をしたことはないのだが、伝説的に噂として伝え聞くIllustratorのテクニックや驚異的なこだわりは尊敬には値するが、とても真似の出来ないような域にまで達している。
たとえば、文字詰めに関してはアマチュアからプロになって、かなりぼくも気を遣うようになったが、なんとCEOは数百頁に及ぶ単行本のノンブルにさえ、ひとつひとつトラッキングやらカーニングを入れていくらしい。良い物を作ろうと思えば、そんなことはあたりまえなのだが、社員20名程度の弱小企業である。そこに費やす時間と労力と、それに対して支払われる対価がうまくバランスが取れてるとはとてもおもえないのだが。
閑話休題
それほどまでに美意識とこだわりを持ったデザイナーのまえで、美大はおろか専門学校すら出ていないチンピラがなにかを云えるはずがない。
それでもCEOは前述の通り、ぼくをクリエイターだと云った。
クリエイターってなんだ? デザイナーってなんだ?
たしかにCEOに送ったメールでは、言葉巧みに自分が思う「クリエイターとは何なのか。そして何故自分はクリエイターではないのか」について書いた。
もしかすると、その文章が”クリエイティヴ”だというのか。

たしかに、ほんの数年前は、思い付いた言葉を羅列していけば、ほんの数時間で現在の日給以上の原稿料を頂戴していた。我が社は、社員の社外での仕事も認めていて、ましてアルバイトのぼくがそれをとやかく云われる筋合いも心配もなかったが、副業について一切ぼくは会社の人間には話さなかった。いろいろ理由はあるけれど、いちばんはいま関わっている媒体に文章を書かされるのがイヤだったからね。

もう、ぜんぜん本題とかけ離れて来ちゃったから無理矢理強引にまとめるけれど、今回の「PENCK騒動」ではサイトウマコトdesign=記名性と、無記名=フリー・フォント"Major Kong"が、それぞれの思惑とまったくちがう方向で使われ(使って)しまったんだよね。

あれ、ちょっと待った!
ええと、足立裕司氏による"Major Kong"はオリジナルな「作品」だよね。ただし対価を求めないフリー・フォントというカタチの。それに対してサイトウマコト氏の"PENCK"はマス・プロダクトされた「商品」だよね。

となると、この2パラグラフの文章はサイトウマコト氏=記名性but「商品」、足立裕司氏=無記名but「作品」ということになるよね。あれだけ、だらだら書いたぼくの「無名拡販性」というロジックは矛盾してしまうではないか!

べつにぼくは、どちらの味方をしようと思ったわけでもないけれど、ビジネスとクリエイティヴとかきれいごとを並べながら、いかに自分がクリエイターじゃないかを書こうと思ったのに。
だめだ。もう一度考え直さなきゃ。たしかに、ぱぱっと書き流しちゃおうと甘く見ていたのは事実だけれど、最後にこんな落とし穴があるなんて!

ごめんなさい。
もうすこし考えてみて、また書きます。あと、なぜぼくが「非クリエイター宣言」をしたかもね。(べつに誰も読みたくはないかも知れないけれど)

しかし、よりによって会社をサボって書くことじゃないわな(爆)。
BGMは主に、くるりでした♪

*1:CEOとの面談に際し、何回かに分けてぼくは長めのメールを送っていた