「休んで下さい」と主治医は云った。

abcd2005blog2007-08-24


なんとなく寝る気もしなくなってしまったので、病院へ行くことにした。
いずれにせよ明日通院日だったし、首筋に張りもあったのでマッサージもしてもらいたかったし。


平日だったからだろうか。
待合室は、いままでで見たことないくらいガラガラだった。
通院歴10年以上のぼくは、普段朝から長時間待っている重病患者さんを尻目に、受け付けしてものの数十分で順番が廻ってくる。
それが今日は空いてるせいもあってか、トイレから出るとすぐに名前を呼ばれた。
いつもは訊かれたことに応えるだけの一分診療なのだが、仕事を休んで一日早く来たこともあって、こちらからすこし話をした。
昨日職場で一日じゅう睡魔に襲われ仕事にならなかったこと。職場での自分の居場所がない(居心地が良くない)。毎朝のように休んでしまおうかと思うこと。それでもさいきんは「行くだけ行こう」と思えるようになったこと、など。
主治医は耳を傾けつつもカルテに目を向けたままだ。

いまぼくにとって、いちばん困るのは突然睡魔が襲ってくること。
いつもはいろいろと手を尽くしてなんとか乗り切ってきた。ただ昨日のように朝から帰るまで脳が醒めないというのは、まったく作業にならないわけだから解雇される恐れだってある。
「どうしたらいいでしょう?」
主治医にぼくは訊いた。

これ以上リタリンを増やすことができないことはわかっている。処方量が既にmaxなのだ。
他のクスリを加えることも難しい。ただでさえ、処方量を減らすように云われているのを、なんとか抵抗して維持しているのだ。いまの主治医は、こちらからの問いに(主に否定的な)回答する程度だが、いままでの医師のなかには強引に処方箋を書き換えられたこともある。

「休んで下さい」
あっさりと主治医は云った。「休むしかないですね」

いままでぼくが診てもらってきた精神科医を思い返すと、いくつかに分類できる。

  • 積極的に治療をしようとするタイプ(投薬に頼るタイプとカウンセリング重視とがいる)
  • 変化を避け、ひたすら様子を見るタイプ(減薬や弱いクスリに変えていくことも多い)

云うまでもなく、いまの主治医は後者である。なにしろ毎回決まったことしか訊かず、こちらからの疑問などに対して、解決策を見出そうとはしない。たとえば新薬の情報などについても、あまり調べる気がないのか詳しく説明はしてくれない。
かつて初老の主治医のときは、とにかくこちらが要求するクスリを次から次へと出してくれたーーだからこそリタリンを処方してもらえ、現在まで最大量を出してもらえているーーのだが、現在の主治医はさすがに知識はあるのか副作用などを理由になかなか処方薬を増やしたりはしてくれない。

「そうですか」
そう応えるしかなかった。

診察室を出て、すこし待つとマッサージの順番が来た。
じつはこの病院でぼくがもっとも話すのは、この療法士の先生だ。だいたい一回20分くらいだが、病気のことはもちろん、病院の内部のことからお互いの仕事のこと、家族の話などさまざまな話をする。
余談だが、この療法士さんはほぼブラインド・タッチなのだが、そのぶん指先の感覚が冴えていて、触るだけでぼくのカラダの状態はもちろんココロの様子も読み取ってくれる。

すくなくとも朝のようなひどい状態は回避した。フラットな状態くらいまでには戻ったような気がする。
結局、気分の問題。医師の診察でもクスリでもないんだなと実感する。