セッシ42℃のセカイ


いままで何度か書いたと思うけれど、ときどきぼくは他部署に手伝いに出されるのだが、そのなかでも例外的に過酷な作業に今日も送り込まれた。
しかも朝から順調に作業を進め、まもなく最初の休憩という中途半端な時間に先方の責任者が自転車で作業場に乗り込んできた(爆笑)。どうやら上層部では話は付いていたようなのだが、現場まで降りて来ず、業を煮やして乗り込んできたようだ(爆)。


今日は、すくなくとも午前中はひとりでのんびり作業ができそうだったので安心していたのだが、最下層低所得労働階級にとって、会社の命令に否はなく服従すること当然の選択肢はイエスのみである。
すぐにやりかけの作業を片付け、ロッカーから前掛け、冷蔵庫からスポーツドリンクを出し移動。こんなこともあろうと、常にぼくは作業場の冷蔵庫に予備のスポーツドリンクをストックしてある。

現場へ着くと、朝いちばんの作業は既に終わっており掃除。
これもよく書いているが、決してぼくはきれい好きではないが「掃除して給料が貰えるなんて!」という、至極単純な労働と報酬の仕組みに従って、わりと積極的に清掃に励んでいる。
ここの部署は派遣社員ふたりがメインなのだが、そのうちベテランのスタッフが休みらしい。もうひとりは、まだ入社して2ヶ月くらいなので人手不足もあり、ぼくが呼ばれたようだ。

ところでぼくがはじめてこの部署に手伝いに来たのが、ちょうど1年まえ。去年の8月の最終週だったと思う。今年ほどではなかったとは思うが、残暑が厳しかった気がする。
あれから1年。多いときには週に1度から10日に1度、平均して月に1度くらいの割合で声が掛かる。もう延べにして何回行ったかわからない。

ただ、ときどきーー何ヶ月かに一度ーー新しい顔と出会う。(派遣)スタッフが代わっているのだ。
ここではほとんど道具や機械を使わず手作業で、社内でもおそらくもっとも原始的という意味での肉体労働を強いられる。それなのになぜか派遣されてくるスタッフは年配者が多い。もしかしたら若者は説明を聞いたり、見学をした時点で断ってしまうのかも知れない。

温室での作業なので、夏は云うまでもなく暑い。今日だって場所によっては42℃くらいあった。よく「いまはたいへんだけど、冬は暖かくて良いよね」と云ってくる人間がいるがーーじつは今日も同じことを云われたーー、水を使う作業なので「寒い」ことはすくなくても、「冷たい」ことは多い。
そのせいか、3ヶ月もすると皆辞めてしまうようだ。(契約を更新しない場合もあるだろうし、それよりもまえに逃げ出してしまう人間もいるのだろう)

普段からぼくはほとんど他のスタッフと口を聞くことはない。
同じ部署で一日じゅう共に作業をしている契約社員とも、朝と帰りの挨拶程度だ。

手伝いに行った先でも休憩時間は、人目を避けて物陰でスニッフィングしているし、作業中は会話をする機会もない。それに前述の通り、ここの部署では年配のスタッフが多いので共通の話題もとくになかった。
だが、数ヶ月前に入った現在のスタッフは、根が明るい性格なのかよく話を掛けてくる。作業を妨げるような無駄話は迷惑千万だがーー余談だが、この会社は社員にしても契約社員にしてもそういう効率を悪化させるような無能な人間が多いーー、ちょっと作業がひと段落したときにかるい息抜き程度の話をしてくれる。こちらも慣れない肉体労働で息も絶え絶えなので、つい乗せられて話をしてしまう。いつもなら苦痛このうえなく適当に受け流してしまうのだが、憎めないキャラクターなのか、当たり障りのない程度の会話を交わしてしまう。

今日は掃除から始まったが、その後ももちろん炎天下での作業もあったが、どちらかというと日陰での軽作業が多かった。
それでも午前中でTシャツは汗でびっしょり。
昼休みに水洗いをして干しておいたら、15時の休憩時にはもう乾いていた。
そう、スポーツドリンク同様タオルと替えのTシャツは常にストックしてある。しかも、ここの部署にまでぼくのロッカーが用意されているので(苦笑)、更衣室のロッカーとここのロッカーとそれぞれ1組ずつ常備してある。

午後もキツイ作業があったのだが、なぜかぼくはべつの軽作業。しかも涼しい場所での掃除や水を使った洗い物など楽チンすぎてごめんなさいという一日だった。

とはいえ、流した汗と乾いた喉を潤すべく、帰りに買い物ついでに第三のビールを買って自転車に乗りながらゴクリ。
帰宅して、お風呂で汗を流して発泡酒でゴクリ。
夕飯はさらっと、ざる蕎麦で涼やかに。

これくらいなら、たまにはよい。
飽くまで、たまに、気分転換にね。