やはり辛勝と云わざるを得ない結果だが

abcd2005blog2007-09-14



初戦イングランドと引き分けてしまったーー勝ち点3ではなく1しか得られなかった(-2)ーーため、今日のアルゼンチン戦は最低でも勝利、それもなるべくゴールを多く奪い、得失点差を大きくすることが必要だった。


そのためか直前のブラジルとの壮行試合同様、安藤梢選手を右MF気味に配置した3-5-2のシステムを取った。
云うまでもなく攻撃的な意図があったわけで、選手入場のとき安藤選手の姿が見えたときには「来た!」と慌てて背番号7の安藤選手のレプリカ・ユニフォームを着込んだ。

余談だが、テレビ中継ーーぼくはCSで観ていたがーーで試合前のベンチが映り、そこにビブロスを羽織って座っている荒川恵利子選手がいた。これはスタメン出場しないことを現しているわけで、メンバー発表のまえにこういう映像を流すことはどうかと思った。
たとえば安藤選手のファンであるぼくは、毎回試合前は近賀ゆかり選手とどちらが先発だろうとドキドキしながら予想して楽しんでいる。
荒川選手の場合は初戦で負傷して昨日も別メニューで調整したようだが、事前情報では「荒川、強行先発」と報じているメディアもあった。あの映像を見た瞬間に「ああ、やっぱり」と思ったし、怪我の状態が良くないのか心配もした。細かいことだが、テレビ局にはもうすこし気を遣ってもらいたかった。(地上波ではどうだったのだろうか)

閑話休題
安藤選手がスタメン、システムが3-5-2となると左サイドには初戦のMVP宮間あや選手が並ぶことになる。その図を想像してぼくはキックオフ前からテンションが上がってしまった。
FWの組み合わせはいろいろあるが、中盤からDFに掛けてはこの8人が現時点で最高のメンバーではないかと、個人的には思ったりした。

いよいよキックオフ。
早速安藤選手は右サイドを上がっていき、ボールを奪うと巧みに相手を抜いていき、クロスを上げる。
日本代表最初のシュートも安藤選手だった。あれはちょっと1歩速かったためにポストに当たってしまった気がするが、初戦でも惜しいシュートを放っていたし、改めて安藤選手のゴールに向かう姿勢は素晴らしかった。

ただ解説の川上直子さんが再三仰っていたのが「安藤選手の上がりが遅い」ということだった。
たしかにいつもはトップスピードで最前線にまで飛び出していくのに、今日はわりと二列目ないしは三列目あたりからパスを送るという場面が多かった。ピッチ・コンディションはあまり良くなかったようだが、そのせいだろうか。
同様に澤穂希選手も、これまでの予選などに比べて低い位置にいたようで、素早いインターセプトなど随所に「らしさ」を見せたがもうすこし攻撃に参加しても良かったように思った。
おそらくチーム全体のバランスを考えたうえでのプレーだろうし、イングランド戦では徹底的にマークされてしまいボール・タッチもままならない状態ではあった。そんななか、いざというとき、とくにCKなどでのポジション取りや「読み」はさすがで、何度もぼくは「澤うめえ」と口にしていた。

ついつい安藤選手の話題になりがちなので、他の選手のことも。
何より今日は宮間選手が思うように動けていなかった。もちろんFKやロングパスなど見せ場はあったが、初戦での圧倒的な存在感がまだ記憶に新しいだけに、すこし、いや、かなり物足りなかった。
川上さんが「4バックの方が上がりやすい」と話していたが、なるほど現役時代DFとして活躍しただけあって説得力のあるわかりやすい解説だった。
予選(オリンピック予選も含む)をスタンドで観戦したとき、何度も宮間選手のFKには鳥肌が立った。
イングランド戦では、結果が結果だっただけに感動のあまり涙が零れたほどだ。
予選最後のドイツ戦は引き分け以上は当然だが、できるだけ得点を取りたい。澤選手と宮間選手が中盤から突破してくれることを期待している。

そして澤選手よりも宮間選手よりも、ふだんのような活躍が見られなかったのが大野忍選手だ。
2試合ともゴールに絡むどころか、ほとんどボールに触れていない。
荒川選手の高さも、永里優希選手の勢いも魅力だが、ぼくは大野選手の正確無比なシュートも日本のおおきな武器だと思っている。
イングランド戦では澤選手同様、徹底的にマークされ身動きが取れなかったが、アルゼンチン戦ではすこし動きにキレがなかったようにも思う。肉体的に疲れが残っているのだろうか。
逆に云えば、安藤選手や宮間選手が思うように大野選手へパスへ送れなかったことも、日本になかなか得点のチャンスが訪れなかった原因だとは思うが。

最後に安藤選手に替わって入った近賀選手について。
ファンとしては当然フル出場して欲しかったが、前述の通り今日はなかなか前線へ走り出せていなかったし、後半は若干疲れも見えたので仕方がないだろう。
そして投入早々、近賀選手は持ち味である積極果敢な飛び込みと速いクロスやシュートを打っていった。ヘディングでの惜しいシュートもあったし、結果的に永里選手の得点とはなったが、あの決勝点は紛れもなく近賀選手が作り出したものだ。
ずっとレギュラーだった安藤選手から、すこしずつポジションを奪うようになった頃はライバル視していたがーーべつにぼくがそんなことする必要はないのだがーー、いつも書いているように若さとスピードは魅力的な武器だし、国際試合をもっと積めばさらにレベルアップするだろう。スタミナと攻守の切り換えに多少不安はあるが、うまく安藤選手と併用することによりお互いの長所が生かせるだろう。

蛇足だが、JFAのHPに安藤選手と近賀選手のコメントが載っていたのだが、これがとてもよかったので引用しておく。チームにとってすごく良いことをふたりとも云ってるなと、ぼくは泣き出しそうだった。(http://www.jfa.or.jp/women/daihyo/games/2007/wc_2007/070914/index.html


近賀 ゆかり 選手(日本) 「安藤さんが何度も崩してくれて相手も疲れていたので、プレーのイメージはできていた。得点については、ドリブルで行く手もあったけど、キーパーが弾くかもしれないということも考え、思い切ってシュートを選択した」


安藤 梢 選手(日本)「1対1は楽しかった。でも前を向いたあとのプレー、決定機の精度を上げていかないとダメ。スピード生かしたプレーを心がけているけれどワールドカップのアタッカーはどこの国の選手もスピードがある。近賀には交代の時に頼むよという気持ちで、“仕掛けていけるよ”と声をかけた」